let there be light
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いつか見る夢
- 2012/01/14 (Sat) |
- (創作)魔恋の六騎士 |
- CM(6) |
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アンジェリーク 魔恋の六騎士(ショナ×テレサ)
いつか見る夢
「…気がついたみたいだね」
ベッドの中でうっすらと瞳を開き、けれどもまだぼんやりとしている少女に、ショナは優しく声をかけた。
天井に向けられていた顔が横を向き、かたわらの椅子に腰掛ける彼の姿をとらえる。
「私、どうして――?」
「物資の搬入作業の途中で倒れたんだよ。覚えていないの?」
それは、物資のまとまった入荷があって、中庭で確認や仕分けをしている最中のこと。
ショナも頼んでいた薬品を受け取るためにその場にいたが、発注表を手に忙しく動き回っていたテレサは、ふいに意識を失い、くずれ落ちてしまった。
驚いた騎士団長たちが、すぐに彼女の部屋に運んだ。そうして医療兵を呼ぶと、たいした診察の必要もなく、疲労と睡眠不足によるものだと診断された。
「…あ」
記憶が蘇ったのか、テレサの目が見開かれ、瞳孔に光が戻ってきた。
「だいぶ疲労がたまっていたみたいだね。ここのところ、顔色もよくなかったし」
最近、近隣の惑星に檄を発したことで、騎士団の人員は急激に増大した。
人が増えれば、必要な物資もまた増えてくる。いつのまにか補給隊の中核となったテレサが、そのやりくりに苦労していることは、ショナも知っていた。
「僕も人のことは言えないし、君ひとりに負担を押しつけてしまったのは、騎士団長の責任だと思う。でも、頑張りすぎは禁物だよ」
「…ごめんなさい」
テレサは恥ずかしそうに、シーツのすそをつまみながら消え入りそうな声で言った。それから部屋じゅうを見渡して、ショナと自分の他に人影がないことを確かめた。
「ショナが看病してくれたの?」
「僕はいただけで…そんな、大層なものじゃないよ」
ショナはかぶりを振りながら、そう答えた。
この椅子に座って、テレサのことをずっと見守っていたのは、本当はルノーだ。しかし彼はレヴィアスとの魔導の訓練があり、ついさっき出て行ったところだった。
大事な姉の容態をとても心配していて、だからショナが、代わりに付き添っていると約束したのだ。
「でも、そばにいてくれたんでしょう? やっぱり、ありがとうって言わなくちゃ」
ショナの説明を聞くと、テレサはふわりと微笑んだ。
(違うよ。僕は、ただここにいただけで…)
感謝の気持ちがこそばゆくて、誤解をときたかったが、余計な体力を使わせるのはよくないことだと思い留まる。
それでも落ち着きを取り戻せずに、あたりへ視線をさまよわせたショナの目が、サイドテーブルの上の赤い果物をとらえた。
「林檎、食べない? マリアが差し入れてくれたんだ」
子供の頃、風邪で寝込んだ彼のために、姉のケリィが果物を剥いてくれたのを思い出した。良く熟した林檎は、病人の喉を潤すのにぴったりだ。
ショナは林檎を手に取り、ナイフで皮を剥き始めた。
…が、その手つきはひどくおぼつかなくて、皮の切れ端が花びらのように皿に落ちるばかりで、なかなか進まない。
「貸して、ショナ」
あやうく指を切りそうになったショナを見かねて、起きあがったテレサが手を伸ばした。
「そのままだと、怪我しちゃうよ」
「テレサ、君は休んでいないと」
「少しくらい、大丈夫だよ。ね、貸して?」
さとすように言われて、ショナはしぶしぶナイフと剥きかけの林檎を彼女に渡した。
テレサは慣れた手つきでナイフを持つと、林檎をくるくると回しながら、器用に皮を剥いていく。
「はい、ショナの分」
あっという間に剥き終えてしまうと、切り分けたひとつをショナに手渡してくれた。ショナは憮然としながら、切り口の滑らかな林檎をかじった。
(こんなこともできないなんて…みっともない)
ナイフは使い慣れているから、簡単にできると思ったのに。
「林檎、美味しいね」
「うん…」
しかも、ショナの剥いたでこぼこな部分の林檎を、彼女がさも美味しそうに食べているので、なおさら自分が情けなく感じてしまう。
食べ終わり、再びベッドに横たわるのを待って、ショナはたずねてみた。
「何かほかに、僕にできることはない?」
どうにかして、彼女の役に立たなくては。そんな、妙に意固地な気分になってしまっていた。
ショナの問いに、テレサは少しだけ考え込んで、ふいに赤面した。
「どうしたの?」
「言いにくいんだけど、その…手を、握ってもいい?」
「手を?」
予想外の言葉に、ショナが軽く驚いて聞き返すと、テレサは恥ずかしそうに頷いた。
「そうしたら、安心して眠れると思うから」
「…いいよ」
手を握っているだけで、本当に安心するのだろうかと疑問に思ったが、それを今ここで論じても仕方ない。
ショナは遠慮がちに差し出された白い手に、自分のものを重ね合わせた。
「これでいい?」
「うん、ありがとう…」
満足そうに目を細めて、テレサが微笑む。うつらうつらと眠りに落ちていくのを見守りながら、ショナは意外な気持ちで彼女の手をまさぐっていた。
テレサと自分は、それほど体格差はないはずだ。
だけど、初めて触れる姉以外の女の子の手は、とても小さくて…真綿のように柔らかい。
好奇心を覚えて、握っている手を両手で包み込むと、そっと指先を撫でてみた。乾燥して、少しかさついた感触がする。
いつもラウンジで自分たちのためにお茶を入れてくれたり、手作りのお菓子を振る舞ってくれたりで、水仕事が多いせいだろう。
そういった労働を知らない自分の滑らかな手を、ショナはむしろ恥ずかしく思った。
(…そうだ)
たしか部屋に、実験で使った香油の残りがあった。あれを肌に塗れば、乾燥も治まるだろう。彼女に似合いそうな、花か果物の香りをつけて、小瓶に詰めて――。
きっと喜んでくれるだろう。
嬉しそうな笑顔を想像してわくわくした気分を覚えながら、ショナは穏やかな寝息を立てる少女に小さくささやいた。
「君が目覚めるまで、ずっとここにいるって約束するよ。だから…安心して、おやすみ」
口から出た言葉に自分で驚いたが、後悔はしていなかった。
新しく届いた薬品で早く研究を進めたかったし、そもそも自分のような性癖の人間が誰かの看病をするなんて、まったく似つかわしくない。
それでも、もし彼女が望んでくれるのなら、そばにいてあげたい。
(…なぜ?)
わからない。
好きだとか、大切に想うとか、そういう感情については知っているつもりだ。テレサは騎士団になくてはならない存在で、だから、僕は彼女が…好きだと思う。
(違う、そうじゃなくて)
たとえば伏せたまつげに落ちる陽射しが、息をのむほどに美しいと思うのは。
僕が剥いたいびつな林檎を、嬉しそうに食べてくれる横顔を思い出して、胸がしめつけられるような気分になるのは。
それを安易に「好き」と表現するのは、どうもしっくりこない。
なにげなくて。
あたたかくて。
泣きそうに切なくて。
――この感情を、何というのだろう。
(彼女に聞いてみたら、わかるのかな)
たずねてみるのは簡単だけど、少しもったいないような気もする。――それに、知ることよりも、今はただ感じていたい。
この手の中のぬくもりを。穏やかに波打つ鼓動を。
胸に沸き上がってくる、くすぐったいような不思議な疼きを。
テレサの顔をのぞき込んでみると、偶然だろうか、眠りながらかすかに頬を緩ませた。きっと幸せな夢を見ているのだろう。
つられてショナも笑ったその時、心の奥底で、暗い衝動がざわつくのを感じた。
(あ…!)
けれども、背筋が凍りついたのは一瞬のことだった。彼の心を侵食しようとした黒い闇は、すぐにまばゆい光に吸い込まれるような、強い眠気にかき消されていった。
瞼が重い。睡魔に逆らうことができず、ショナはベッドの端に頭を乗せた。
すぐそばにテレサの手があって、甘い林檎の香りが鼻をくすぐる。それがとても心地よくて、握りしめたままの指に、そっと自分の唇を押し当てた。
(きっと、僕は――)
閉じていく瞼の奥で、ショナの思考はひどく鮮明に、答えを導き出そうとしていた。
いつかきっと僕は、この夢の先を見るだろう。
胸にこみ上げる気持ちに、ふさわしい言葉を見つけて、君に伝えるんだ。
夢とも現実ともつかないうつろな意識の底で、頬を染めた少女が、満面の笑みを浮かべる。
世界中の花がいっせいに開いたような、まぶしい笑顔。
「僕は、君が――」
想いのひとかけらをつぶやいて、ショナの意識は眠りの世界に落ちていった。
ショナ×テレサです。ヌルいです。
すみません、これが限界でした…。
なんかもっと、はきちがえロマンスサイトの名に恥じない、はっちゃけたショナテレが書きたいよー。
天レクプレイした時は、ぶっちゃけ偽守護聖のメンバーはショナ以外アウトオブ眼中でした。
いやもう、ゼフェルの顔したショナがにっこり笑った時の、あの衝撃といったら…!
当時はそんな単語ありませんでしたが、ものすごいツンデレ威力でした。
でもまぁ、ルノーもあの頃からカワイイと思ってたし、ジョヴァンニもインパクトあった!
カーフェイには同情したし、真面目で仕事熱心なクラヴィスも新鮮で面白かったなぁ。
ユージィンの印象はまったく記憶にありません\(^o^)/
ショナ√のラストは、ちょっと…微妙ですよね。
あのあと、絶対にひと波乱もふた波乱もあったと思うんですが…。
ただ、ユージィンも似たようなコトをやらかしていて、それに対して何の解決もしていないので、
同じ展開になってはいけないと思って、あーいう流れにしたのかな、という気もします。
にしても、もうちょっと引き伸ばしてほしかったなー。
そのあたり、自分なりに妥協案が見つかったら、
ED後のショナも書いてみたいです。
20歳すぎて、背も高くなって、優秀な科学者とかになってて欲しいなぁvvv
年上の可愛い奥さんがいて、本とお菓子と子供たちに囲まれて暮らしてるのvvv
COMMENT
無題
私は、えむけいと申すものですが・・・
先日、モートさんのところの魔恋絵茶で、魔恋サイトさんか、ブログさんを教えてください。
といった、えむけいですけど・・・
覚えてらっしゃいますか?
もし、覚えてくださっていたら嬉しいです。
先日は、しきぶさんのブログ、教えてくださってありがとうございました。
早速、覗いてみて、魔恋の小説が一杯で嬉しくなりました。
魔恋のFANさんのブログ発見~!
この瞬間がとても嬉しいんですよね。
そして、しばらく一生懸命読んでいた自分です。
実は、私もブログを持っているのですが、あの絵茶の時は、まだ、魔恋を完クリしていなく、しかも自分のブログ記事に感想をアップしていなかったので・・・静かにしていました。
でも、今度、あのような絵茶があったときは、一杯、萌えを語らせていただこうと思っています。
とりあえず、感想記事は、私はブログに正直な感想ですが(笑)以下の記事に書きましたので、良かったら是非、お暇な時にでも覗きにいらしてくださると嬉しいです。私の本音が分かりますので
http://mkgame.seesaa.net/article/246892338.html
一番萌えたのはキーファーなんですよ~。
なので、しきぶさんのブログに足を運んだ時も、真っ先にキーファー小説を読ませていただきました(^^)
よかったら、これからも、私と魔恋やら、他のゲームの話などで、仲良く交流していただけると嬉しいです。
私、ツイッターもやっていますが、しきぶさんともっと仲良くなれましたら、その時にでも、お互いのフォローが出来れば嬉しく思います。
これからも時々、しきぶさんのブログ、すごく楽しみなので遊びに来ますのでよろしくお願いしますね。
チャットのとき、言えなかったことを一杯書いたので、長いコメですいません。
こんにちは!
魔恋話がいろいろできて、楽しかったですvvv
こんなショぼいサイトまで来ていただきまして、本当にありがとうございます。
まだまだ作品が少なくて、申し訳ないのですが…(^_^;)
いくつかプロットはあるので、がんばって書いていきたいと思います。
えむけいさんもブログをお持ちなんですね!
さっき覗かせていただきましたが、ゲームレビューとかじっくり読むのが楽しみですv
ブログと連動はさせていませんが、私もツイッターやってます。
もしフォローさせていただければ嬉しいです!
ぜひぜひ、魔恋とか乙女ゲー話させてくださいvvv
後ほど、フォローに伺わせていただきますね。
キーファー…彼は意外性No.1でしたね(汗)
このダークさは、バッドEDだから???とずっとドキドキしながらプレイしていました…。
乙女ゲーで平田さんの声を聞くのは初めてでしたが、うわずった声とかすごく良かったですね(*^_^*)
ホントにお越しいただいてありがとうございました。
今後ともよろしくお願いしますvvv
勝手ながら…
遅くなりましたが、サイトオープンおめでとうございます\(^o^)/
いつも携帯からコッソリお邪魔していたので、PCで拝見するのは初めてだったりww
それで放置甚だしいラブサミ同盟に手を入れる際に、こちらをご紹介させていただきました(^_^;)
ラブサミ取扱いサイト様は強制参加です!!
…というのは冗談で、ご迷惑でしたら、ご連絡くださいませ…;;
あ、リンク返しとかはお気になさらず~(笑)
ではでは、失礼いたしますm(__)m
おおう!
こちらこそご挨拶にも伺わず、失礼してスミマセン…
リンクは基本的にフリーですので、全然かまいません! たった今決めました!(←)
でもラブサミコンテンツ、増えてなくて…が、がんばります(-_-;)
あ、バナーも作ってないんですよね…
できたらこちらからもリンクさせてもらえると嬉しいです~vvv
またあとでご相談しますね!
やっヴぇ泣いた。・゚・(ノД`)・゚・。
・・・やっヴぇ、泣いたぁ( ;∀;)
キーファーでどはまりしまして。胸が詰る思いをしながらゲームをクリアしました。
本編で納得いかなかったシナリオ部分をこういった小説で補完してもらえるのは本当にいいですね。
久々にどっぷり世界に浸れてうれしいです。
魔恋小説、まだまだ楽しみにしてまーす!
ありがとうございます!
文章ガチガチで表現力もかなりアレなのですが、お気に召していただければ何よりですvvv
魔恋は本当に補完アイテムが少なくて少なくて…(涙)
ネタと書きたい意欲はあるので、まだちょこちょこと作品アップしたいと思ってます。
つたないながらもがんばりますので、よろしければまたお越しくださいませ!!
ありがとうございました(*^_^*)